新入社員研修の目的と最近の傾向

新入社員研修は、毎春に入社する新入社員向けの研修と、年度の途中で採用する中途社員向け研修に分かれます。
今回は主に、新卒向けの新入社員研修を実施する目的に関して、2020年度の新入社員意識調査をもとに整理します。

新入社員研修の目的とは?

一般的に、新入社員研修はビジネスマナーや業務の基礎知識を身に付けるものであり、新入社員がスムーズに業務にとりかかれるように支援することを目的としています。
会社によって新入社員研修の目的は異なり、目的にあわせて各社さまざまな研修制度を設けています。

<一般的な新入社員研修の目的例>

  • 学生から社会人への気持ちを切り替える
  • 社会人としての一般常識、ビジネスマナーを身に付ける
  • 自律性、コミュニケーション能力、報連相のスキル、目標達成意識などを養成する
  • さまざまな人と働くうえでのコミュニケーション力や傾聴力を身に付ける

    <会社ごとに設定されるさまざまな新入社員研修の目的>
  • 企業理念や事業内容、会社の歴史など、会社について学ぶ
  • 業務に関する基礎知識や、職種別の専門知識を身に付ける
  • 同期や先輩社員との交流を行う
  • 社内ルールを理解する(イントラネットや勤怠の付け方、経費精算の方法、社員証の扱い方など)

新入社員研修の目的・役割が曖昧なままだと、どのような研修カリキュラムを取り入れれば良いのか迷ってしまい、研修の効果検証も正しく行えなくなる可能性もあります。
そのため、自社で行う新入社員研修は何を目的とするのか、最初にしっかり定めておくことが大切です。

最近の新入社員の傾向(1)競争を避けたい

リクルートマネジメントソリューションズの「2020年新入社員意識調査」(以下、「同調査」と記載する)によると、近年の新入社員は他人との競争を避け、個性を尊重し合いながらチームで成長していきたいと考える方が増加傾向にあります。

同調査によると、「自分が成長できる」「人や社会の役に立つ、感謝される」という項目が上位となっているのに対し、「競争に勝つ、ナンバー1になる」「自分のビジョンや夢を実現する」という項目は最下位となりました。

出典:リクルートマネジメントソリューションズ 2020年 新入社員意識調査
出典:リクルートマネジメントソリューションズ 2020年 新入社員意識調査

また、新入社員に「どのような特徴を持つ職場で働きたいですか?」と尋ねたところ、「お互いに助け合う」「お互いに個性を尊重する」という回答が過去10年間で大幅に増加しています。
それに対して、「活気がある」「お互いに鍛えあう」を回答した数は大幅に減少しました。

これらのデータから、社員同士で競争しあい、組織の上を目指して積極的に動いていくことよりも、周囲との違いを理解し合いながら、チームで社会貢献していきたいという価値観に変化していることが分かります。

新入社員研修は、新入社員が個人で競争に勝つために実施するのではなく、チームとして社会貢献し自身の成長につなげていくために行っていると伝えるなど、新入社員の最近の傾向をつかみながら新入社員研修の目標設定を行うと良いでしょう。

最近の新入社員の傾向(2)論理的思考力をUPしたい

次に、「これから身に付けたい力は何ですか?」と尋ねたところ、「資格」を身に付けたいという回答が最も低くなりました。

続いて「交渉力」「マナー」「リーダーシップ」「語学力」に対する回答が減少し、代わりに「論理的思考力」「プレゼンテーション力」「文章力」を伸ばしたいという回答が右肩上がりとなっています。

出典:リクルートマネジメントソリューションズ 2019年 新入社員意識調査

最近の新入社員の意向をくみ取りつつ、ビジネスマナーや業務に関する資格取得の勉強を行う代わりに、論理的思考力や文章力を鍛える研修を取り入れても良いのではないでしょうか。

新入社員研修の設計の流れ

新たに新入社員研修を実施する企業や、自社の研修カリキュラムを見直したい方のために、新入社員研修の設計の流れを解説します。

新入社員研修の設計の流れ

まず、受講者である新入社員のレベルを客観的に把握し、新入社員研修の目的およびゴールを決めます。

たとえば、SPIや面談を通して、新入社員の論理的思考力が弱いという客観的なデータが出ている場合は、新入社員研修の目的を「論理的思考力を高める」と設定し、研修を通して「論理的思考力を〇ポイント上げる」など数値を用いてゴール設定をします。

なお、研修目的を決める際は、必ず配属先の現場担当者から意見を聞くことを忘れないようにしてください。
事前にすり合わせを行うことで、研修後の配属をよりスムーズに進めるためです。

次に、新入社員研修を実施する期間、研修に費やす時間数を決めます。
どのくらいの時間を割けば良いか分からない場合は、具体的な研修カリキュラムを研修会社から取り寄せて、目安の時間数を確認しても良いでしょう。

ある程度の研修期間、時間数が決まったら研修カリキュラムの内容を決め、研修を実施します。
研修が終わったら必ず研修の振り返りを行い、研修報告書を作成します。

時期はいつからどのくらいやるものなの?

新入社員研修は、新入社員の入社初日または翌日から開始して、1か月ほど実施することが多いようです。
株式会社インソースの調査によると、IT企業やメーカーなど、専門知識を要する企業は3か月ほどの長期期間を設けることもあるようです。

新入社員研修のカリキュラム例

ここからの章では、新入社員研修のカリキュラム事例を、一般的なものとユニークなものに分けてご紹介します。

一般的な新入社員研修カリキュラム例

1. 社会人としての基本行動研修

出社して元気に挨拶ができるか、ビジネスシーンでの自己紹介の練習、報連相のしかたや電話応対について、社会人の基礎的な動き方を身に付けるカリキュラムです。

2. ビジネスマナー研修

上司や取引先との話し方、聞き方などビジネスコミュニケーションを中心とした研修です。名刺交換や来訪者への応対、社用メールの打ち方や接待での座席のすわり方、身だしなみや敬語の使い方まで幅広いビジネスマナーを身に付けます。

3. ロジカルシンキング研修

短い時間で、上司や取引先などに伝えたい情報を分かりやすく論理的に話せるようにする研修です。
上司からの指示や伝えたい情報を整理して、自分なりの意見や結論をまじえて、分かりやすく相手に伝えられるようトレーニングを行います。

特徴的な新入社員研修カリキュラム例

1. ロールプレイング型研修

より実践的な場面を想定した研修を実施するため、研修講師の講義式ではなく、複数名が参加するロールプレイング型で行うものです。

たとえば、「会議室を予約する」という具体的なミッションを新入社員に渡し、上司役、同僚役、取引先役などが登場します。
ミッションの途中でトラブルをどう回避し、ビジネスの基礎である報連相をどのように行うか、実践の場で学びます。

2. リモートでのチームビルディング研修

コロナウイルスの影響で、2020年度の新入社員研修をオンラインに切り替えた企業も少なくありません。
リモート環境下でどのように社員同士のコミュニケーションを進めていけば良いのか、リモートワークでのチームビルディングに特化した研修カリキュラムです。

おすすめのオンライン型・チームビルディング研修

バヅクリ(プレイライフ株式会社)



https://buzzkuri.com/
バヅクリは、独自のオンライン体験プログラムや企業研修、ワークショップを50種類以上提供しています。
テレワーク環境下でもチームの一体感を育むことができる研修・福利厚生サービスです。

3. 謎解き脱出ゲーム、サバイバルゲーム、ヒッチハイク、農業研修など

謎解き脱出ゲームやサバイバルゲームなどチームで協力しあい問題解決を行うゲーム研修や、ヒッチハイクや農業などを通して体力や交渉力、コミュニケーション力などを高める研修です。

新入社員研修の外注サービス例

社内に研修専任者がいない場合は、新入社員研修を研修会社に外注する方法があります。どのような外注サービスがあるのか代表的なものをご紹介します。

講義受講型

研修サービス提供会社が主催する新入社員研修の講義に参加する方法です。
複数の会社から新入社員が参加し、貸会議室などで実施します。
講義日程は単発の1日完結型、2~3日のプログラムで組まれているものなどさまざまで、社員1人参加に対していくらと設定されているものが多いです。

研修講師・派遣型

研修サービス提供会社から研修講師を派遣してもらい、自社のオフィスで研修を実施する方法です。
マナー講師などの研修講師は複数の研修会社に登録していることが多いので、研修のテーマごとに研修講師を選び、来訪してもらうことができます。

オンライン研修型

研修動画を録音して社員に見せる方法と、研修講師とZoomなどで繋いでリアルタイムで実施するオンライン研修があります。
2020年度の新入社員研修はオンラインに切り替えた企業も多く、来年度の新入社員研修もオンラインでの実施を検討している企業も増えているでしょう。

オフラインで行う研修と同じように講義を受けたり、グループワークやロールプレイングをまじえながら研修が行われます。

新入社員研修を内製する場合のメリット・デメリット

新入社員研修は、外注にするか社内企画する場合で、費用や進め方が大きく異なります。それぞれのメリット・デメリットをご紹介します。

新入社員研修を外注するときのメリット

研修の企画や準備、当日運営する人員調整などの手間を省くことができる点は新入社員研修を外注する大きなメリットです。
研修を実施したあと、「研修でどのような効果が出たのか」検証を行う際も、プロの研修会社や委託先に結果集計を任せることができます。

また、研修ごとに、テーマにあった専門の研修講師・スタッフに依頼することができるので、より研修の効果を実感しやすいでしょう。

研修カリキュラムの企画やアイデア出しも0からお願いできるので、研修コンテンツのネタ探しや構成に迷うこともありません。

新入社員研修を外注するときのデメリット

新入社員研修を外部に依頼するときの最大のデメリットは、内製よりも費用が割高になりやすい点です。
研修プランにもよりますが、社員1人あたり1回の研修で2万円~5万円で設定されているものも多く、より深いテーマで研修を行う際は1回で数十万円になるケースもあります。

外部委託の費用をおさえたい場合は、オンラインに特化した研修パッケージを利用したり、社内で実施できるものは内製化したりして、コスト調整を行うことが大切です。

そのほかには、社員のことを深く知らない外部の人材が研修を実施することで、社員とうまくコミュニケーションがとれなかったり新入社員からの質問に答え切れなかったりする可能性がある点はデメリットと言えます。

また、研修実施の時期(研修講義の日時)があらかじめ決まっていて、制限されていることもデメリットになり得る点です。

新入社員研修を内製するときのメリット

新入社員研修を内製化すると、費用がおさえられ、社内に研修知見をためられるメリットがあります。

研修を担当する社員自身の育成にもつながり、研修前後のフォローも行いやすい点が魅力と言えます。

新入社員研修を内製するときのデメリット

一方、新入社員研修を内製化するデメリットは、研修カリキュラムの企画や準備、研修当日の運営や講師としての労働時間、研修後の効果検証やレポート作成、不足した研修内容のフォローアップなど、多大な時間と人的コストを費やす必要がある点です。

社員数が少ない企業だと人事担当や現場のマネージャーなどが研修担当を兼任する場合も多く、ほかの業務に支障が出てしまう可能性もあるでしょう。
また、社内で企画から運営まで実施することで、研修内容や効果測定に客観性が欠けてしまったり、質が担保しきれなかったりするリスクもあります。

このように、新入社員研修は外注・内製ともにメリット・デメリットが存在します。自社の状況にあわせて、外注と内製をバランス良く組み合わせていくことが重要です。

新入社員研修の効果検証の方法は?

新入社員研修の効果測定は、研修企画段階で測定が可能な目標をあらかじめ定めることが重要です。

たとえば、マナー研修であれば「名刺交換の正しい方法を覚えて、自然な動作で名刺交換ができるようになること」と測定可能な目標を設定します。
また、研修直後に効果測定を行うのではなく、1か月後や3か月後など定点チェックを行う日を定めて研修評価をしても良いでしょう。

新入社員研修の効果測定は、実技や筆記テストを行って理解度を確認する方法や、配属後の社員行動を観察してヒアリングを行い確認していく方法などがあります。

新入社員研修の注意点

新入社員研修を行うときの注意点をご紹介します。

労働時間や残業代の管理に注意する

新入社員研修は、会社から参加が義務付けられていれば労働時間とみなされます。
そのため、研修後の懇親会や、宿泊をともなう研修の参加を義務付けている場合は、実働時間にあわせて給与・残業代を支給するようにしましょう。

早めにスケジュールを立てて会場や講師をおさえる

新入社員研修は一般的に、毎年4月~5月にかけて行われます。
人気な研修講師は早くから予約が埋まってしまうため、早めに研修カリキュラムを決定し会場や講師の予約を進めるようにしましょう。

目標設定を正しく行う

新入社員研修を何のために行うのかしっかり目標を立てること、また極端に高すぎる目標設定をしないように注意するようにしましょう。
ビジネスメールの書き方や、報連相の方法について研修で理解をしても、実際の現場に出るとうまく実践できないことも多いです。
過度に大きな目標設定を行わず、中長期的な視点で研修カリキュラムと目標設定を進めることが重要です。

まとめ

今回は、新入社員研修の役割や、研修カリキュラムの種類、つくりかたについてご紹介しました。
初めて研修を企画する方や、自社の研修カリキュラムを見直したい人事担当者はぜひ参考にしてみてください。