ストレス社会と呼ばれる現代では、多くの人がストレスをきっかけに休業や退職を余儀なくされ、企業経営にも深刻な影響を与えています。
今回は、ストレスに対処する手法であるストレスケア研修について取り上げ、企業が実施すべきストレスケアとは何か解説します。
直近のメンタルヘルス不調に関する調査結果を参照しながら、国が推奨する4つのストレスケアや、民間企業が提供するストレスケア研修について理解を深めましょう。

ストレスケア研修とは

ストレスを抱える社員

ストレスケア研修とは、職場でストレスを感じたときに行うストレスケア法を身につけるための研修です。※1
ストレスケア法とは、ストレスと長期的に向き合いながら、自身の考え方やストレスのとらえ方を理解しストレスを緩和していく方法です。

一般的に、ストレスがたまったときはストレス解消法を用いて一時的にストレス緩和をする方が多いでしょう。一方ストレスケアは、ストレスの根本的な原因や自分自身の考え方を見つめ直して、中長期的にストレスと向き合い対応力を高めます。

ストレスケア研修では、ストレスケアを職場で簡易的に実践できるよう、ストレスの概念やストレスケアの手法を学ぶことができます。

※1 本記事でのストレスケア研修の定義は「NPO法人日本メンタルヘルスケアサポート協会」を参考にしています。

ストレスケア研修の必要性

必要となるストレスケア

ストレスケア研修が昨今注目されている背景に、メンタルヘルス不調者の増加が挙げられます。
ストレスケア研修がなぜ必要とされるのか、2つの視点で掘り下げていきましょう。

メンタルヘルス不調は休業・退職の要因となる

ストレスケア研修が必要な理由に、ストレスと休業・退職の関係性が挙げられます。
厚生労働省が実施する労働安全衛生調査の最新データによると、メンタルヘルス不調により連続1か月以上休業、または退職した労働者がいた事業所の割合は9.2%となりました。

また、同調査で「現在の仕事や職業生活に関することで、強い不安やストレスとなっていると感じる事柄があるか」という質問に対して、イエスと答えた労働者の割合は54.2%となっています。

多くの場合、仕事量や「失敗できない」という仕事への責任感や仕事の質が負担となり、ストレスを感じていることが分かりました。

この調査から分かるように、仕事のストレスはメンタルヘルス不調を引き起こす要因となり、残念ながら一定数の人材が休業や退職を選んでいます。
実際は調査結果よりも多くの人が、水面下でストレスに苦しみ、悩みを抱えているのではないでしょうか。
社員がメンタルヘルス不調に陥る前に、ストレスケアで対策を行い、貴重な人材を守っていくことが重要と言えます。

ストレスがもたらす企業への悪影響

明らかなメンタルヘルス不調を引き起こさなかったとしても、ストレスは人々のこころをむしばみ、悪影響を及ぼします。
WHOのデータによると、ストレスを感じた人は以下の症状を抱えるケースがあるそうです。

・ 著しく疲れたり、短気になったりする
・ くつろぐことや、集中することができなくなる
・ 論理的に考えることや、意思決定することが難しくなる
・ 仕事を楽しめなくなったり、責任を感じなくなったりする
・ 疲れを感じたり、元気がなくなったり、不安になったりする
・ 眠れなくなる ・ 心臓病、消化不良、高血圧、頭痛、筋肉や骨格系の異常(腰痛、上肢運動障害)などの 深刻な身体問題に悩まされる

参考:職場環境とストレス

働く人々に上記の症状が現れれば、欠勤の増加や仕事のパフォーマンスの低下、転職や顧客クレームの増加など、組織に対する悪影響も増えていきます。
働き手を守るという観点だけでなく、組織・企業の存続のためにストレスケア研修の実施は必要と言えるでしょう。

4つのメンタルヘルスケア

メンタルヘルスケアを説明する女性

ここからは具体的に、メンタルヘルスケアについて理解を深めていきましょう。

メンタルヘルスケアとは

メンタルヘルスケアとは、すべての働く人が健康で生きいきと働くための気配りや援助を行ったり、仕組みづくりをしたりすることを指します。
今現在ストレスを抱えている人だけでなく、健康に働いている人も対象として、すべての人にあったケアを行うものです。

厚生労働省の4つのケア

厚生労働省の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」では、以下の4つのケアをかかげ、推奨しています。

メンタルヘルスの4つのケア
出典:職場における心の健康づくり / 厚生労働省

セルフケアとは、働く社員自らがストレスやメンタルヘルスに対する正しい知識をもち。ストレスチェックなどを活用して自身のストレスに気付く方法です。
ラインケアとは、職場の管理監督者によるケアで、社員からの相談に乗ったり、職場環境全体をチェックしながら改善案を提案する方法となります。

事業場内産業保健スタッフ等によるケアは、一定規模の企業に置かれている産業医や保健師による、専門的なメンタルヘルスケアの企画立案や支援を指します。
4つ目の事業場外資源によるケアは、企業の外にいる専門機関などを活用して行う支援です。

ストレスケア研修のポイント

ヘルスケア研修のポイント

ストレスケア研修では、社員や管理者などすべての人が正しくストレスを理解し、自分自身のストレスに気付くことがポイントとなります。

ストレスを感じるストレッサー(ストレスの原因となる刺激)は人それぞれ異なります。
自分のストレッサーを把握し、どのような思考のくせがあるか気付くことで、対処法を理解できるようになります。
また、自分自身のストレスを理解するだけでなく、周囲の人がどういうときにストレスを感じているのか、さまざまな受け止め方を実感することが大切です。
自分の考え方で一方的に接しないよう意識することが重要となり、知識として得たストレスケアの方法を繰り返し実践していくこともポイントとなります。

ストレスケア研修の内容とサービス例

今回は、民間の研修会社によって提供されるストレスケア研修の内容をご紹介します。

バヅクリ:マインドフルネスをアソビながら習得する

バヅクリ
出典:バヅクリ

バヅクリでは、ストレスケアのアプローチとして有効なマインドフルネスを、完全オンラインで習得できる研修プランを提供しています。
マインドフルネスとは、瞑想を意味しており、ストレスケアとして医療分野でも注目されている手法です。

バヅクリの研修は、社員が楽しんで参加できるようユニークな研修講師のプログラムを多数提供しており、マインドフルネスのテーマでは本物のお坊さんから、書く瞑想と言われるジャーナリングをチームで習得できます。

株式会社インソース:メンタルヘルスケア研修(ヘルスケア)

株式会社インソースのメンタルヘルスケア研修
出典:insource

研修会社大手のインソースでは、ヘルスケア向けのメンタルヘルスケア研修を提供しています。
若手社員から管理職クラスまで、全階層を対象とし、ストレスマネジメントの方法を単発1日の講座で学べるものです。

そもそもストレスとは何か、どうすればストレスと向き合い対処できるのか、といった悩みに答えながら、自分自身の思考のくせを理解し対処法を押さえていきます。

https://www.insource.co.jp/kanrisyoku/ka_mentalhealth.html

株式会社アイアンドオン:体感型ストレスケア手法

株式会社アイアンドオンの体感型ストレスケア手法
出典:株式会社アイアンドオン

ラインケア研修は実施したけれど、人数の多い社員向けのセルフケア研修が未実施の企業や、基礎知識の習得よりも実践的な手法を学びたい企業におすすめの研修です。

具体的には、テキストやDVD教材を用いてストレスケアの基礎知識を学びます。
知識習得後は、ストレス対処行動のコーピングや、ヨガなどのストレスケア実践方法を習得し、習慣化できるよう支援するものです。

対面型で複数回の実施を希望する企業にあった研修でしょう。

https://www.iandon.co.jp/category/1643241.html

株式会社リカレント:EAPメンタルヘルスカウンセリング講座

株式会社リカレントのEAPメンタルヘルスカウンセリング講座
出典:リカレント メンタルヘルススクール

株式会社リカレントでは、EAPメンタルヘルスカウンセラーに必要な「個人カウンセリング」「コンサルティング」「復職支援」「教育・研修」の習得を目指す研修を提供しています。
EAPメンタルヘルスカウンセラーとは、EAPメンタルヘルスカウンセリング協会が実施する、メンタルヘルスに関する総合的な民間資格です。

心理療法やカウンセリング技法を習得し、ラインケアを担う管理者などの個別カウンセリング能力を高めることで、企業のメンタルヘルスケア力を底上げします。
本格的なカウンセラーを目指す講座型の研修のため、50回ほどの研修に継続参加できる場合は検討してみてください。

https://www.recurrent.co.jp/eap/course_guide.html

まとめ

ケアされているメンタルヘルス

メンタルヘルス不調は働く個人の問題ではなく、企業ひいては社会全体の課題です。
1人ひとりのストレッサーや考え方は異なるため、さまざまなストレスの存在を知り、正しい知識を習得することが大切です。
ストレスケアには個人が行うセルフケアや、企業が実施するラインケアなど複数のアプローチがあります。ストレスケアをテーマにした研修も多数あるため、民間の研修会社を効率的に活用しながら、働く環境を整えていきましょう。